ブルース・リー 唯一の師匠にして詠春拳の達人

ブルース・リー
唯一の師匠にして
詠春拳の達人

Text : 加藤よしき

イップ・マンこと葉問は、一代にして自らの名を冠した葉問派詠春拳を確立し、世界中に広めた。ここまで短期間に自身の流派を広めた武術家はそうそういない。まさに一代宗師と呼ぶにふさわしい人物だ。葉問は1893年に武術の盛んな土地・佛山に生まれた。11歳から詠春拳を学び、16歳で香港に留学、詠春拳の腕を磨くと共に、近代的な考え方を身に着けた。その後は佛山に戻るが、歴史の波に飲まれて再び香港へ。本格的に指導者になると、留学時代に身に着けた合理的思考を用いて、伝統に縛られない指導で弟子を増やす。その弟子の中には13歳のブルース・リーもいた。多感な時期のブルース少年に、師・葉問が及ぼした影響は計り知れない。そして1972年、79歳で他界する数カ月前、葉問は木人を叩く姿を動画に残している。「後進に何をどう残すべきか?」と考えたとき、これほど合理的かつ的確な行動はない。文字通り葉問は、人生を詠春拳に捧げたのだ。

2つのシリーズを
股に掛ける男

宇宙最強という身も蓋もないアダ名が似合う男、ドニー・イェン。葉問はそんなドニーの当たり役だが、どっこい、この男も忘れちゃいけない。デニス・トーである。6歳から中国拳法を学び、20代には様々な中国の武術大会でメダルを獲りまくって、2008年の北京五輪では聖火ランナーも務めた名実ともに一流のアスリートである。こんな動ける人材をエンタメ界が放っておくはずがなく、『イップ・マン 序章』(2008年)に脇役ながら出演すると、続く『イップ・マン 葉問』(2010年)では遂に格闘シーンを本格披露。そして念願の主演デビューとなった『イップ・マン 誕生』(2010年)では、往年のジェット・リーを思わせる、超高速かつ美しい動きで強烈な印象を残し、その年の香港電影金像奨の新人賞にノミネート。現在も当たり役である葉問を演じつつ、着実に活躍の幅を広げている。デニスが次世代のアクションスターとしてブレイクする日は近い!

イップ・マンの
ここが凄い!

[ 系譜図 ]

順番に「イップ・マン」を楽しもう!

ドニー・イェン主演
シリーズ

ドニー・イェンの『葉問』シリーズは、実在の人物の伝記映画でありながら、アクション映画的なサービス精神を拡大していった非常に珍しいケースだ。1作目では、前半は中国拳法同士の対決、後半からは日本兵との緊張感ある死闘が楽しめる。戦時下という時代背景と、サモ・ハンらしい殺伐とした振り付けのおかげで、緊張感はシリーズ最高峰。特に葉問が10対1で戦うシーンは、アクション映画の金字塔として語り継がれている。続く2作目は、サモとドニーの直接対決という新旧武打星対決が実現。鳥肌モノの名シーンとなっている。そして3作目からはアクション監督が香港映画界の巨匠、ユエン・ウーピンに交代。ワイヤーアクションの達人ウーピンらしく、アクロバットさが増した。登場する敵もムエタイ使い、不動産屋のマイク・タイソン(!)、詠春拳との同門対決と、過去最高の充実ぶり。そして4作目ではハリウッドで活躍するスコット・アドキンスと、中国の中堅ウー・ユエを招き、またも激闘を見せてくれた。実在の人物の伝記でありながら、アクション映画として見せ場を用意する。こうした真摯かつサービス精神旺盛な姿勢が、本作が世界で愛されるシリーズとなった理由であろう。

  • 2021年11月5日廉価版発売!!

    「イップ・マン 完結」

    1964年、サンフランシスコに渡ったイップ・マン。
    彼は、弟子ブルース・リーとの再会や太極拳の達人ワンとの対立を経て、
    アメリカという異郷に生きる人々が直面する厳しい現実を知る。
    やがて中国武術を敵視する海兵隊軍曹バートンとの激闘の果てにワンが倒れた時、
    イップ・マンは、宣告された病を隠し、立ち上がる。
    香港に残して来た息子にある思いを伝えた彼は、ただ一人、最後の闘いへ進みゆく。

    ©2019 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved.

  • 「イップ・マン 外伝 マスターZ」

    1960年代の香港。詠春拳でイップ・マンに挑み、
    敗れたチョン・ティンチは穏やかな生活を送っていたが、
    街の犯罪組織の恨みを買い、恩人たちが次々と命を落としていき、
    ティンチは封印した武術を使うべく、悪の巣窟へ乗り込む。

    © 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

  • 「イップ・マン 継承」

    1959年好景気に沸く香港は、その一方で、無法地帯になりつつあった。
    裏社会を牛耳る最凶の不動産王・フランクによる暴挙から町を守るため、
    静かな達人イップ・マンは立ち上がる。

    © 2015 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved.

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    「イップ・マン 葉問」

    1950年香港、イップ・マンを待っていたのは、洪拳の師匠ホンとの激闘だった。
    そんな時、イギリス人ボクサーに立ち向かったホンが、リング上で死ぬ。
    イップ・マンは誇りのために、命を懸けて挑むことを決意する。

    ©2010 Mandarin Films Limited. All Rights Reserved

  • 2021年1月8日発売!!

    「イップ・マン 序章」

    1937年に日中戦争が勃発 。中国広東省佛山は、日本軍の占領下となる。
    日本兵たちに武術を教えることを拒否したイップ・マンは、
    空手の名手である日本軍将校三浦と生死をかけた対決をする。

    ©2008 Mandarin Films Limited. All Rights Reserved

順番に「イップ・マン」を楽しもう!

デニス・トー主演
シリーズ

「葉問でもう一発!」端的に言えば、デニス・トー版の葉問の出発点はここにある。安易と言えば安易だが、しかし、だからこその強みがデニス版にはあるのだ。ドニー版には“伝記映画”という大前提があり、それゆえの制約が多々あるし、国民的大ヒット作になったことで、様々な注意を払う必要が出てきた。一方、デニス版はそのへんがオールフリー。伝記映画であることを完全に放棄して、エンタメとして開き直っている。その根底にあるマインドは、往年の香港映画にも通じる「面白ければ何やってもいいんじゃ!」。『誕生』では日本の財閥の極悪令嬢が全身ピンクのコスチュームでサーベルを振り回し、『宗師』では斧使いの女盗賊といったケレン味の塊のようなキャラが登場、当の葉問に至っては、黒い仮面を被ったヒーローとして、夜な夜な法で裁けぬ悪を裁き、1人で200人くらいの犯罪者集団を蹴散らすなど、超人の域に達している。こうした展開はドニー版では不可能だろう(不動産屋のマイク・タイソンという飛び道具はあったけれども)。伝記映画としては問題かもしれないが、遺族がOK出しているし、何なら葉問の長男が俳優として出演しているので、OKなのだ! たぶん!

  • 2021年1月8日発売!!

    「イップ・マン 宗師」

    ブルース・リーの師となる以前、警察官として法を守り、正義を貫くイップ・マンだったが、
    マフィアのボス殺害の濡れ衣を着せられ、その娘に復讐のため狙われることに。
    そこに中国侵略に備え日本軍までもが広東省佛山に進出。
    妻と生まれたばかりの息子の命も狙われる中、
    日中武術交流会で空手の達人である日本軍将校徳川と対決する。

    ©2019 Beijing Kai Pictures Co. Ltd., Beijing Palm Entertainment Co. Ltd. All Rights Reserved.

  • 「イップ・マン 誕生」

    1905年、広東省佛山。詠春拳の達人・陳華順の下で修業を始めた幼いイップ・マン。成長し大学に進学するため香港へと旅立つが、そこで中国人に無礼な発言をした英国人を一瞬で懲らしめ、一躍有名になる。ある日偶然出会った詠春拳の達人・梁璧を師匠として更に腕を磨き、その後大学を卒業し佛山へと戻ったイップ・マンだったが、戦争の影が忍び寄り、不穏な事件に巻き込まれていく。

    ※現在国内での発売はございません

その他
関連シリーズ作品

  • アンソニー・ウォン主演

    「イップ・マン 最終章」

    1949年愛する妻と息子と離れ単身香港へ渡り詠春拳を教えていたイップ・マンは、
    妻の死に立ち会うことができず精神を病み途方に暮れていたが、
    アジア最大のスラム街・九龍城のボスが開く闇試合のファイトマネーで
    生活苦から逃れようとした弟子を助けるため、他の弟子と共に立ち上がる。

    ©2013 National Arts Film Production Limited. Emperor Film Production Company Limited. All Rights Reserved.

  • トニー・レオン主演

    「グランド・マスター」

    1930年代の中国。北の八卦掌のグランド・マスターであるゴン・パオセンは引退を決意し、
    その地位と南北統一の使命を譲る後継者を探していた。
    候補は弟子のマーサンと、南の詠春拳のグランド・マスター、イップ・マン。
    パオセンの娘、ゴン・ルオメイも、父の反対を押し切り名乗りを上げる。

    © 2013 Block 2 Pictures Inc. All Rights Reserved.

ブルース・リー生誕80周年!

ブルース・リーとイップ・マン